どんな君も、全部好きだから。
「ん」


赤くなった私を優しい顔で見ながら、夏海くんが両手を広げる。

こ、これは・・・もしかして抱きしめる体勢、だよね?

じ、自分から抱きしめられに行く流れですか・・・?


「優依、きて」


戸惑っている私に、夏海くんが甘い声でお願いしてくる。

ううう・・・ずるいよ、そんな言い方されたらもう拒否なんてできない・・・。


恥ずかしさで頭も心臓も爆発しそうになりながら、夏海くんの広げられた腕の中へそっと進んでいった。

夏海くんは机に座ったままの体勢で私の腰の辺りに両手を回してグッと身体を引き寄せると、そのまま視線を近づけてきた。


ひっひえええええ!キレイなお顔のドアップ!!!


かつてないあまりの近さに思わず目をつぶると、一呼吸置いてから私の右頬に何か柔らかな感触が与えられた。

驚いて目を開くと、すぐ目の前にあった夏海くんの優しい顔が更にほころんだ。


「ありがと。俺も大好きだから、付き合おう」


そう言いながら今まででいちばんのキラキラ眩しい笑顔を私に見せる夏海くん。

眉を下げて屈託なく笑う様子はいつもより少し幼く見えて、あまりのかわいさに私の心臓が鷲掴みにされる。
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