どんな君も、全部好きだから。
興奮冷めやらぬまま眠りについた、その翌朝。
寝不足の目をこすりながらスマホを見ると、一通のメッセージが来ていた。
『正門のとこから一緒に行きたい』
まだ頭がぼーっとしていたけど、送り主を見た瞬間いっきに体温が上昇してくる。
私は胸の高鳴りを感じながら朝の準備を始めた。
球技大会のとき負傷した手首がまだ完治していないのでヘアアレンジはできそうになかったから、丁寧にブローするくらいしかできないけど。
念入りに身だしなみに気を付けて準備を完了した私は、いつもより少し早く家を出た。
自然と早くなってしまう足取りを抑えるのに必死だ。
こんなに急いで歩いたら夏海くんに会うころには汗だくになっちゃう。
それはぜったい嫌。
校舎が遠くに見えてきたころ、正門よりもずっと手前の場所に夏海くんの姿があって胸がきゅんと鳴った。
私を見つけた彼の顔がみるみる優しさで溢れていく。
ああ・・・朝からなんて幸せな光景なんだろう・・・。
「優依、おはよ」
「お、おはよう、夏海くん」
この人が私のかっ、かかか彼氏、なんだと思ったらとてもじゃないけど直視できないんですけど。