どんな君も、全部好きだから。
「早く会いたくて気づいたら優依の家の方に歩いてた」


夏海くんが正門よりもだいぶ距離があるところにいた理由を話してくれて、私の心臓がぎゅーんとする。

えええええ、何そのかわいい理由・・・嬉しすぎる。


「優依が気にするだろうから送り迎え毎日はしないけど、たまにはやらせて。じゃないと本気でどうにかして優依の家の近く住もうとするかもしんない」

「えっ!わ、わかった、わかったよ!」


夏海くんの目に本気が垣間見えたので、ぎょっとした私は慌てて肯定した。


「でも無理はしないでね。迎えにくるとしたら、すごく朝早くなっちゃうし」

「あー、だいじょーぶ、こう見えて朝めっちゃ強いから」


そういえば今朝くれたメッセージの送信時間も早い時間だった。

夏海くんのことをまた一つ新しく知ることができて嬉しい。


そんなふうに話しながらしばらく歩いていたけど、夏海くんがふいに表情をくもらせて、


「もし聞かれたら、付き合うことになったって言っても大丈夫?」


と心配そうに聞いてきた。


「自分から言いふらすつもりないけど、もし聞かれて答えたらたぶん広がっちゃうと思うから」

「・・・うん、大丈夫だよ」


夏海くんのことに関する噂の広がり方は容易に想像できるので、私はもう覚悟を決めていた。

お付き合いすることで誰に何を言われたとしても、もう彼の隣を誰にも譲りたくないという確かな想いがあるって気づいたから。

どんなことがあっても頑張りたい。
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