どんな君も、全部好きだから。
それに・・・


「何も心配してないって言ったら嘘になるけど・・・もし何かあっても夏海くんがそばにいてくれれば大丈夫だって思えるから」


夏海くんがただそばにいてくれるだけでどんなことにも向き合えそうな気がする。

それくらい夏海くんは私に大きな安心感を与えてくれる人なんだ。


「はー・・・・・・抱きしめていい?」

「へっ?!」


夏海くんが脈絡もなくそんなことを言ってきたので私はまぬけな声をあげてしまう。


「が、学校の近くだよ?人いっぱいいるし・・・」

「ダメ?ぎゅってしたくてたまんねぇんだけど」


夏海くんは少し甘えるような声でそう言いながら熱のこもった瞳で私をじっと見ている。

この目に見つめられてお願いされて、拒否できる人がいるのでしょうか・・・?

で、でも!


「・・・だめ。人目がたくさんあるところは恥ずかしいから嫌だよ」


心を鬼にしてきっぱりと言った。

夏海くんと二人で歩いているというだけでも目立っているのに、こんな道の真ん中で抱きしめられたらとんでもない騒ぎになりそうだよ。


「もっと抱きしめたくなったんだけど」

「えっ、な、なんで?!」

「そんな可愛くダメって言われても可愛いだけなんだよな」


もはや夏海くんが何を可愛いと思っているのかわからなくて、私は真っ赤になって口をパクパクさせることしかできなかった。
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