どんな君も、全部好きだから。
「賢斗くんと早坂さん付き合ってるの?!」
「さっき手つないでるの見たって言ってた子がいたんだけど!!」
教室に入るやいなや、クラスの女子だけでなく他のクラスの人たちも私たちの周りに押し寄せてきた。
は、話しが広がるのが早すぎる・・・!
「あ、あの、えっと・・・」
あまりの勢いにタジタジしていると、夏海くんがそっと私の前に出てくれた。
私たちを取り巻く人たちが一瞬でシーンとなり、かたずをのんで夏海くんを見ている。
さっきまでの穏やかな表情はどこにいったのかと思うほどいつも通りのドライな雰囲気に戻った夏海くんは、
「付き合ってるよ」
と短い言葉ではっきりと言った。
「何か言いたいことあったら俺に言って。ずっと好きだったのも、諦めらんなくてしつこく告ったのも俺だから」
教室の女子から悲鳴が上がるのと同時に、夏海くんと仲の良い男子たちからも歓声が上がった。
「べ、ベタ惚れじゃん・・・!」
「こんな夏海くん初めて見たぁ・・・」
「賢斗おまえ、実はめっちゃ熱いヤツだったんだな」
「いつも何ひとつやる気ありませんみたいな雰囲気のくせにな」
「なんだそれ・・・そんな雰囲気出したおぼえないんだけど」