どんな君も、全部好きだから。
あ・・・こんなふうに夏海くんがクラスのみんなの中心にいるのを見るの久しぶりかも。

夏海くんとみんなの気の置けないやり取りが嬉しくて、私はいつのまにか頬が緩んでいた。


「賢斗~、早坂さんに笑われてるよ」


ふいに私のことを言われてドキッとしてしまう。

慌てて声のした方を見ると、神崎さんがニヤッとした顔で私の方を見ていた。


「賢斗良かったね、長い片想いが実って。周りに敵意むき出しになりだしたときはなんじゃこりゃって思ったけど」

「やー、あれはマジ怖かった。オレ前の席だから背中がピリピリしてさぁ」


神崎さんと西村くんの言葉にばつが悪そうな表情になった夏海くんは、少し顔をそむけた。

でもすぐにみんなに向き直って、


「ホントごめんな。必死すぎて余裕なくて暴走した。クラスの空気壊して悪かった」


と素直な謝罪の言葉を口にすると、夏海くんを見ていた女子も男子も顔を赤くして驚いた顔をした。


「や、やだ・・・こんな素直な夏海くんめっちゃレア・・・」

「おまえ、その顔で誠実さ出しちゃったらもっと人気出ちゃうじゃん!俺らもっとかすむじゃん!」

「一途さもプラスされてさぁ、ほんと勘弁してよオレらいつまでたっても彼女できんて」

「いや、にっしーたちに彼女できないのは賢斗関係ないよ全然」

「彩香・・・そんな力いっぱい断言するのヒドくない?」
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