どんな君も、全部好きだから。
なんとなく感じてはいたけど・・・

夏海くん、甘えたがりなところがあるのかな。

こうやって甘えるような表情や仕草をよく見せてくれて、その度に私の心臓がぎゅうっとしてしまう。

こんな可愛い顔するなんてズルいよ・・・。

うっかり見惚れちゃって、何も断れなくなっちゃう・・・。


私はおずおずと手を伸ばすと、夏海くんの頭をそっと撫でて、


「頑張ったね。夏海くんが頑張ってくれて私も嬉しい」


と労いの言葉を口にした。

でも言った途端に恥ずかしくなって顔がみるみる赤くなってしまう。

や、やっぱり私が夏海くんをほめるなんて生意気というか烏滸がましいというか・・・。

夏海くんは真っ赤になった私を見ながら嬉しそうに、少し照れくさそうに笑っている。


「優依、好きだよ」


優しい顔でふいにそう言われて、もう私の鼓動の速さも体温の上昇も限界だった。


こんなふうに人目も気にせず素直な気持ちを伝えてくれる夏海くん。

お付き合いを始めてからは特にそんなことが多くて、その度に私は戸惑ってしまう。

私も好きだよって、そう言葉にしたいのに、いつも恥ずかしさで何も考えられなくなってしまって。


夏海くんから気持ちをもらうばかりで、私はちゃんと返せてる・・・?
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