どんな君も、全部好きだから。
「ほらほら、玄関暑いんだから早く入ってもらいなさいよ」


そしてお二人の後ろからゆったりした口調で現れたのが・・・


「母さん」


夏海くんのお母さん・・・!

こちらもやっぱり綺麗な方で、あまりの美形家族に私は圧倒されてしまいそうだった。

はっ、だめだめ、見惚れてる場合じゃない、挨拶しなきゃ・・・!


「は、初めまして、夏海くんと同じクラスの早坂優依といいます。今日はおじゃまさせていただきます」


声が小さくならないように気をつけながら挨拶をして、ペコリと頭を下げた。


「これ、私の家がよく利用しているお店の焼き菓子なんですけど、よかったらどうぞ」


続けて手に持っていた紙袋をお母さんの前に差し出した。


「あら~わざわざどうもありがとうね。やだぁ、こんなにきちっとしたお嬢さん連れて来るとは思わなかったから緊張しちゃうわぁ」


そう言いながら優しく笑ったお母さんの顔が夏海くんによく似ていて、私は少しほっとした。
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