どんな君も、全部好きだから。
イライラがピークに達した俺はソファから立ち上がる。

こんなとこいたら永遠に質問攻めと余計なお世話なこと言われまくって、テレビ見るどころじゃなくなるわ。


「だーって心配なんだよぉ、あんたが愛想つかされてフラれないか」

「そーそー、せっかく家連れてくるぐらいの彼女できたんだから、ほんと大事にしなよ~」

「はいはい、お姉ちゃんたちその辺にしときなさいよ」


俺が何か言い返す前に母さんがやんわりと双子をたしなめたけど、もうソファに戻るつもりはなかった。


「ちょっと蓮とこ行ってくる」

「あんまり遅くならないでね」


母さんの言葉に「わかってる」と答えると、俺はスマホだけ持って家を出た。


蓮の家はうちの向かいだ。

俺も蓮も生まれたときからここに住んでいて、親同士も仲が良い。

俺がいつたずねても、おばさんはいつも当然のように蓮の部屋に通してくれる。

蓮がうちに来たときもそうだ。

最近は自宅よりここにいる時間の方が長いんじゃないかと思うほど勝手知ったる蓮の家。

一応ノックをして返事が聞こえてから蓮の部屋のドアを開けた。


「誕生日おめー。なんも用意してねぇけど」

「どーも。何もいらんからテレビ見させて」


俺は蓮の部屋のテレビを付けて、さっき見ようとしていた番組にチャンネルを合わせる。

はー、部屋にテレビあんのいいなぁ・・・。
< 221 / 246 >

この作品をシェア

pagetop