どんな君も、全部好きだから。
「もーすぐ優依と図書委員終わりかぁ~」


二学期始まって最初の委員の日。

図書室の受付けカウンターで頬杖をつきながら、賢斗くんが残念そうな声でそう言った。

前期の任期は9月までなので、もう今日を含めて2回で賢斗くんと一緒の委員活動が終わる。

今日もすでに下校時刻が迫ってきているので、図書室にはもう私たちしか残っていなかった。


「優依、ちょっとこっち来て」


ふいにキョロキョロと周囲を見渡した賢斗くんが、私を手招きしながら奥の方へと歩いていく。

不思議に思いながら後をついていくと、ひとつの棚の前で賢斗くんがピタリと止まった。


「ここ、俺が優依と出会った場所」


私の方を振り向きながら賢斗くんが噛みしめるようにゆっくりとそう言った。

あの日と同じように窓から差し込む日の光を背中に浴びて、私を見つめる賢斗くん。


「・・・覚えてくれてた・・・」


そうだったら嬉しいなって思ってたから、本当に覚えてくれていて胸が熱くなる。
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