どんな君も、全部好きだから。
「初めて優依と話した思い出の場所だから。それからずっと優依が好き」


懐かしむように優しい声でそう言った賢斗くんの顔が、逆光でよく見えないのがもどかしい。


私のことを思いながら話してくれる彼の表情は、これから先ひとつも見逃したくない。


そんな抑えきれない衝動に動かされた私は、気づいたら賢斗くんに駆け寄って抱きついていた。


「っ優依?!」


賢斗くんは慌てて身じろいだけど、私は彼の身体に回す腕にぎゅっと力を込めた。


「・・・どーしたん?」


何も言わずしがみついている私を不思議に思ったのか、身体のこわばりを少し緩めた賢斗くんが私の頭にポンポンと優しく触れる。

彼の温もりを久しぶりに感じられて、私は思わず涙が溢れそうになった。


「優依?泣いてる?」


賢斗くんの大きな手が私の頬にそっと触れられた。

顔をあげると心配そうに揺らいだ瞳と目が合って胸が苦しくなる。
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