どんな君も、全部好きだから。
「あの、ね、夏海くん、休んでるときに勝手に図書委員に決まってたでしょ?それで、その、大丈夫なのかなって気になるんだけど」


話しながら、あまりにもわかりにくい言い回しだなと自分でも呆れてしまう。

でも、『委員会、やる気ありますか?』なんてストレートに聞けないし・・・。


「もし忙しいとか無理な日があったら、私一人でも大丈夫だからよかったら言ってね。去年も図書委員やってるし一人でも大丈夫だから。あ、でも委員の仕事全然しないのはたぶんダメだろうから、やっぱり、しないよりはしてくれた方がいいんだけど・・・」


もうどう聞けばいいのかわからなくて、私はとにかく必死になって口を動かした。

こ、これでは伝わらないよね・・・どうしよう・・・。

恥ずかしすぎて、夏海くんの顔はとてもじゃないけど見ることができなかった。


「・・・るよ」


熱の集まった顔を隠すように俯いた私の耳に、ふいに夏海くんの少しかすれた声が聞こえた。


「えっ?」


何と言ったのか聞き取れなくて、私はバッと顔を上げる。


「図書委員やるよ。・・・早坂と一緒にちゃんとやるよ」


初めて名前を呼ばれて、私は思わずドキッとしてしまう。

私の名前を知ってくれていたことが純粋に嬉しかった。


「うん。わかった」


夏海くんがちゃんと委員の仕事をする気でいてくれていることがわかって、私は自然と頬を緩めながらうなずいた。

勇気を出して聞いてみてよかった。
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