どんな君も、全部好きだから。
よく見ると夏海くんの頬が少し赤くなっているような気がするけど。

教室も薄暗いし・・・気のせい、だよね・・・?


「じゃあ、これからよろしくお願いします」


そう言って夏海くんから視線を外した瞬間、



「好きだ」



小さいけど、はっきりした声で夏海くんが呟いた。


「・・・えっ?」

「・・・・・・・・・えっ?」


言葉ははっきり聞き取れたけど、意味がわからなくて夏海くんの方に再び視線を戻したら、なぜか彼も驚いた表情をしている。


「え・・・ちょ、ま・・・今、声に出てた・・・?」


夏海くんは普段のドライな雰囲気からは想像できない真っ赤な顔と焦った様子で、手の甲で口元を隠しながら聞いてきた。


「あっ・・・はい、出て・・・ました・・・」


夏海くんの焦っている姿につられて、私も若干動揺しながら答える。

好きだって、そう言ったよね。

な、何が好きなのかな・・・。

何も聞くことができなくて、私は夏海くんから何か話してくれるのを待った。
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