どんな君も、全部好きだから。
夏海くんは、最初は『やってしまった』という感じの表情で、まるで言葉を探しているように視線を宙に漂わせたり、口を開いてはつぐんだりをしていたけど。

一度長く息を吐いたあと、私の方に真っ直ぐ視線を向けた。

顔は相変わらず赤いけど、少し落ち着いたみたいだ。

何かを決意したような強い視線を受けて、私の心臓はドクドクと早鐘を打っている。


そしておもむろに口を開いた夏海くんは、あまりにも信じられない言葉を言った。



「早坂のことずっと好きだった。俺と付き合ってほしい」



突然の告白、だった・・・。

あまりにも信じられない出来事が突然起こって、私の頭の中は完全に真っ白になっている。


夏海くんが・・・私に告白?

というか、夏海くんが私のことを・・・好き・・・?


「・・・あの・・・えっと・・・」


何かの間違いにしか思えなくて、なかなか言葉が出てこない。


「・・・い、言う相手、私で合ってますか・・・?」

「合ってる」

「じょ、冗談・・・とか―――」

「冗談でこんなん言わねぇ」


念のため確認してみたけど、間違いでも冗談でもないと即答された。

夏海くんの熱を帯びた真剣な瞳は真実を語っているようにしか見えなくて、私はそれ以上否定する言葉が思いつかなかった。

思考回路は完全に停止していて、何の言葉も出てこない口をパクパクとさせることしかできない。
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