どんな君も、全部好きだから。
委員会の時もその後も、なんとかして早坂と喋りたいと思っていたけど、違うクラスのヤツに声をかけられてしまって早坂になかなか近づけないでいた。

教室に戻ってきて、バッグの中に荷物をつめながらどうやって切り出そうかと思っていたら、なんと早坂の方から声をかけてくれた。


初めて俺の名前を呼んでくれたのがめちゃくちゃ嬉しくて。

下の名前も呼んでくんねーかな、とか考えてしまうほど俺を呼ぶ声が可愛くて。

好きな子から名前を呼ばれるのが、こんなに特別なことなんだと初めて知った。


一生懸命話してるのがめちゃくちゃ可愛いし、しかも内容が、俺のことを気にしてくれているような感じのことで。

いろいろ感極まって、俺はなかなか言葉が出せないでいた。


でも早坂の話をよく聞いてると、俺が図書委員をちゃんとやるのか心配してる感じだった。

俺がいなくても1人で大丈夫だから、みたいなことも言い出したから、それは困ると思って俺はちゃんとやると伝えた。

何があっても委員だけはやる。

早坂と一緒にいられる機会を逃してたまるか。


俺のやる気に、早坂は『わかった』とだけ答えてくれた。

言葉は短かったけど優しい笑顔を俺に向けてくれていて・・・俺はもう、いろいろとヤバかった。


この十ヶ月間、ただ見てるだけだった好きな子が俺のこと気にして話しかけてくれて、こうやって笑いかけてくれてる。

今のこの気持ちを表すことができる言葉なんてこの世にないんじゃないかと思うほど気持ちが高まった俺は、早坂のことが好きだと改めて思った。


・・・思っただけのはずだったのに・・・。


なんと俺の『好きだ』は実際に声に出てしまっていたらしい。

そして、それに対する早坂の答えは、『ごめんなさい』だった。
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