どんな君も、全部好きだから。
私たちは教室を出て、同じ階の空き教室前まで移動した。

鍵がかかっていて中には入れないけど、使っていない教室の前なので廊下に人はいない。


「で、どうしたの?」


楓ちゃんは心配そうに私の顔を覗き込んでいて、瑞希ちゃんも眉をハの字にして私をじっと見ている。

私は何から言えばいいのかわからなくて口をモゴモゴしていたけど、意を決して話し始めた。

見える範囲に人はいないけど、念のため小さな声で。


「金曜日ね、図書委員があったんだけど・・・私・・・な、夏海くんと、一緒になったじゃない?」


二人は無言でうんうんと頷いて聞いている。

私と夏海くんが同じ委員に決まったことを二人とも少なからず心配してくれていたというか、興味津々の様子だったから、その話がきたって感じでちょっとワクワクしているのが見て取れる。


「それで・・・委員会が終わったあとにね・・・その、夏海くんから、こっっっ・・・」

「「こっ?」」

「こっ・・・告白、をされたんだけど・・・」


もともと小さい声で話しているけど、『告白』の部分は更にボリュームダウンさせて言った。

誰かに聞かれるのも困るけど、何より告白をされたことを報告するのが恥ずかしすぎて。
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