どんな君も、全部好きだから。
クラスに戻ると同時に予鈴が鳴った。
教室に入るとすぐに夏海くんの姿を見つけて、心臓がドキンとはねる。
窓際から三列目の一番後ろの席。
今まで特に気に留めることもなかった夏海くんの席に最初に目がいった。
今日はめずらしく一人で席に座っている。
一人でいるときの夏海くんはいつもよりもっとクールな雰囲気で、少し大人っぽく見える。
座って頬杖をついているだけなのにすごく絵になる人。
このかっこ良すぎる人が、私を好き・・・?
金曜日ぶりに実物の夏海くんを見たら、あれは夢だったんじゃないかという気持ちが強くなってくる。
思わず目が離せないでいたら、ふいに夏海くんがこちらを見たので目が合ってしまった。
「!!」
アワアワと慌てる私に、フッと優しい笑顔を見せてくれる夏海くん。
途端に私の心臓は早鐘を打って、顔が火照りだした。
夏海くんは一瞬だけ笑顔を見せたけど、すぐに私から視線を外してクールな表情に戻った。
自意識過剰な思考で恥ずかしいけど、まるで私だけにわかるように微笑んでくれた、みたいに感じてしまって。
そんな特別なことをされたら、あの告白が現実だったんだって嫌でも実感してしまう・・・。
私はドキドキと高鳴る胸の前でそっと両手を握りながら、自分の席にパタパタと急いだ。