どんな君も、全部好きだから。
* * * *


ゴールデンウィークを前に、クラスの雰囲気もなんだかウキウキしているような気がする四月下旬。

私と夏海くんは水曜日の図書委員の日以外はあまり話すことなく過ごしていた。


以前みんなの前でお昼休みに話しかけられたとき、クラス中の視線がとても痛かったんだけど。

そのことを夏海くんにポロっと話してしまったら気を遣ってくれて、今は人目のあるところでは必要以上に話しかけないようにしてくれている。

そうすると、ほんとに話す機会が少なくて。

私はいつまでたっても夏海くんに慣れることができないでいた。



「どっか遊びに行かない?」


四月最後の委員の日、一緒に下校中のことだった。

夏海くんからの突然のお誘いが咄嗟に理解できなくて、私はフリーズしてしまう。


「早坂?」

「え・・・っと・・・」


それは、学校じゃないときに二人で遊びに行くということでしょうか・・・?

私と夏海くんが遊びに・・・?

遊び、とはどんな・・・?

・・・・・・ダメ、全然想像ができない。


チラっと夏海くんの方を見上げると、じっと私を見つめて返事を待っている様子だ。


「あの・・・それは、ちょっと緊張してしまうというか・・・」

「でも学校だけだと早坂とあんまり話せねぇのがしんどいんだよな」

「そっそれは・・・」


私があんなことを言ってしまったばかりに、夏海くんの行動を制限させてしまっているんだよね。

なんだか申し訳ない気持ちになってしまうけど・・・でも・・・。

『いいよ遊ぼう!』なんて、とてもじゃないけど気軽に言えない・・・。
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