どんな君も、全部好きだから。
「どこだったら会ってくれる?」


私の顔を少し覗き込んで意見を聞いてくれる夏海くん。

どんなことでもこんなふうに私の気持ちを聞いてくれて、そして尊重してくれる。

夏海くんはこうやって話すようになってからずっと私に優しくて、その優しさに触れるといつも私の心は温かいもので満たされていく。


二人で遊びに行くの緊張するけど・・・応えたいな。


ふいにそんな想いがこみ上げてきて、私はどこなら大丈夫そうか考えてみる。

いつも二人で会うのは図書室だから、似た雰囲気だと緊張も少しはマシかも?


「・・・図書館で一緒に勉強とか・・・?」


言ってから、それが『遊び』ではないことに気づいて慌てる。

でも夏海くんは、


「いいね、一緒に勉強」


と嬉しそうな声で答えてくれた。


「ほ、ほんとにそれでいいの?遊びにならないけど・・・」

「いーよ。早坂と一緒ならなんでも。連休明けたらテストだしちょうどいいじゃん」


そう言って穏やかな顔で笑う夏海くんは、ほんとにそう思ってくれている様子で。

こんな面白くもない提案しかできない私を、どうして優しく受け入れてくれるんだろう。


私も夏海くんに優しさを返せるような、そんな人間になりたいな・・・。

夏海くんの整った横顔をそっと見上げながら、そんな気持ちが芽生えたのを感じていた。
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