どんな君も、全部好きだから。
そしてゴールデンウィークに突入した最初の日。

私と夏海くんは図書館の専用のスペースで、教科書や参考書を広げながら問題を解いていた。


「早坂、これわかんない」


夏海くんが隣に座っている私に問題を見せてくるんだけど・・・。

距離が近すぎて私の心臓はずっとドッドッドッと騒がしい音を立てている。


「えっと、これはね・・・」


私は説明するために夏海くんのノートに書き込みたいんだけど、なかなか近寄れないでいる。


「ノートにガッツリ書いていいから教えて」


夏海くんの言葉は『だからもっとこっちへ来い』と言っているようで。

私はどうしようもなく顔が赤くなってしまうのを止められなかった。


そもそも、今日の約束をしたときは考えが及んでいなかったんだけど、休みの日に会うということは私服で会うということで。

そして夏海くんの私服姿は想像の範疇を軽々と越えてしまうほどカッコよくて。

最初、待ち合わせ場所にすでに到着している夏海くんを見た瞬間、私はいつものように固まって動けないでいた。

こんな、どこにでも売ってるようないつも着ているカットソーとジーンズ姿の私が、この眩しい人の隣に立っていいはずない。

思わずそう思ってしまうくらい、夏海くんはキラキラしていた。

結局、私に気づいた夏海くんがこちらに近づいてきたので、いたたまれない気持ちになりながら並んで図書館に入ることになってしまったんだけど。
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