どんな君も、全部好きだから。
『あっ賢斗?グループトーク全然見てないでしょー?!』


スピーカーモードにしてないのに、耳にスマホを当てる前から神崎の高い声が漏れ聞こえてくる。


「あー、わりぃ。見てねぇわ」

『もー、いつもそうなんだから!明日みんなでボーリング行こうって言ってるんだけど、賢斗も来ない?』


ボーリング・・・めんどいな・・・。

でもモンモンしてるのは発散しといた方がいい気がするな。


そう思った俺は行くことを伝えて、まだ話したそうだった神崎との通話をさっさと終わらせた。

スマホの画面は再び早坂とのトーク画面に戻ったけど、俺はもうそれ以上画面を見ないようにして枕の脇にポイっと軽く投げた。


早坂と会えない連休は全然楽しみがねぇな。

休みが嬉しくない、早く学校行きたいとか思うの初めてだ。


俺は投げたばかりのスマホにおもむろに手を伸ばして、表示されたままの早坂とのトーク画面にまた目をやる。

メッセージの入力欄をタップして

『またどっか遊びに行こう』

と送信した。


これを見た早坂は、また困って顔真っ赤にしたりするのかな。

はぁ・・・想像したら会いたくてたまんねーな・・・。


ほんと重症だなと自分でも思うけど、そんな感情に支配されていることがとても心地良かった。


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