どんな君も、全部好きだから。
須川さんに連れられてたどり着いたのは小さな公園だった。

小学生たちが楽しそうに遊んでいる中、私たちは空いているベンチに腰掛けた。


「私とけんちゃんと、あと青山蓮って知ってますか?家が近所で、幼稚園からの腐れ縁なんです」

「そうなんだね。ずっと一緒なの?」

「はい。でもけんちゃんの好きな人のこと聞いたのは今回が初めてだったので、すごく気になっちゃって」


夏海くん、須川さんにどれだけ私のことを話してるんだろう?

何か相談したりしてるのかな。


「あ、けんちゃんが先輩のこと話してるのは蓮にですよ。私は二人が話してるのを勝手に聞いてるだけっていうか・・・だから相談されたりはないですよ!」


私の心の声が聞こえたかのような須川さんの言葉に面食らう。私、顔に出てたかな・・・?


「先輩は・・・けんちゃんのこと、どう思ってますか?」


須川さんが不安そうな顔で質問してきたので、私は少し胸がざわついた。

その表情の奥にはどういう気持ちがあるんだろう。

というか、かっこいい幼馴染の好きな人がこんな地味で普通の人間だって知って、須川さんはどう思ってるかな・・・。


「夏海くんはいつも優しくて、私のこと気遣ってくれる人で・・・仲良くなれたらいいなと思ってます。好きかどうかは・・・もうちょっとじっくり考えたくて・・・」
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