どんな君も、全部好きだから。
* * * *


日曜日がやってきた。

朝起きた瞬間から家を出るまで、ずっとソワソワがおさまらなかった。

映画館のあるモールまでは電車で行くのだけど、夏海くんとは最寄り駅が一緒なので12時に駅前で待ち合わせをしている。


歩きながら、建物のガラス窓に映る自分の見慣れない姿になんだか恥ずかしくなってしまう。

今日の私は、透け感のある黒のシフォンブラウスに膝が見える丈のベージュのスカート、髪の毛はゆるいハーフアップにしておろしている。


りぃちゃんが思いついた『夏海くんが喜ぶもの』は、『今日の待ち合わせに私がおしゃれをしていく』ということだった。

昨日の土曜日、りぃちゃんとショッピングをして今日必要なものを見て回った。

今まで着たことないような丈のスカートとか、したこともない髪型とか。

尻込みしていた私だけど、りぃちゃんが私でも合いそうなものをチョイスしてくれたし、髪型も練習させてくれた。

それに、少しだけどメイクも教えてくれて。

しているかどうかよく見ないとわからない程度だけど。

でもほんの少しでもいつもと雰囲気が違うように見えて、私は自分の顔を見る度にドキドキしてしまう。


これがどうして夏海くんにお返しすることに繋がるのかさっぱりわからなかったけど、いつもの格好では隣に立つことがはばかられる感じだったので、その点は少しマシになったような気もする。

前に図書館に行ったときとあまりにも雰囲気が違いすぎて、変に思われる可能性もあるかもしれないけど・・・。
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