どんな君も、全部好きだから。
って、そうじゃなくて。


「あ、あの、夏海くんは私に合わせてくれてて・・・ダメなのは答えを出せないでいる私なの」


夏海くんの優しいところを誤解されたくなかったので、私は慌てて弁明する。


「もー、先輩は相変わらず優しいなぁ。まだ好きになってもらえてないってことはけんちゃんに足りない部分があるからだと私は思います。先輩は何もダメじゃないですよ」


りぃちゃんの真っ直ぐであたたかい言葉に、ネガティブになってしまっている私は少し泣きそうになった。



「ありがとう。りぃちゃんは優しいね」

「先輩・・・」


私はちゃんと笑顔を作ったつもりだったけど、きっとそれはぎこちないものだったのだろう。

りぃちゃんは心配そうに眉を下げながら私を見ている。


「ごめんね、ちょっと・・・自分のダメなところばかり目についてモヤモヤしてたから・・・。でも大丈夫だよ」


頑張って明るく話そうとしたけど、言葉が全部強がりに聞こえてしまいそうなほど弱々しい声が出て私は戸惑った。


「先輩、私でよければなんでも聞くので話してくださいね」


りぃちゃんが私の手を握りながら真剣な瞳で顔を覗き込んでくる。

本当に・・・話してもいいの・・・?

自分で処理できないほどのモヤモヤを抱えたのは初めてだったので、気持ちが弱っている私にりぃちゃんの存在はとても大きかった。

以前、私の突然の相談にも的確な答えをくれた人だから。
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