どんな君も、全部好きだから。
私はどうしても縋りたくなってしまって、りぃちゃんの綺麗な瞳を見つめながら口を開いた。


「夏海くん・・・そのうち私のこと飽きちゃわないかなぁ・・・?」


いろんなことにモヤモヤしていたけど、何よりも先に私の口から出たのはそんな言葉だった。

夏海くんの周りにいる人たちよりも自分を選んでもらえたことが不思議で仕方ない。

夏海くんにずっと好きでいてもらえるとはとてもじゃないけど思えない。


すべては、自分に自信がないから。


私がそんな何もない人間だって気づいたら、夏海くんは私に告白したことすら後悔してしまわないかな。


「そんなこと絶対ないですよ・・・!」


りぃちゃんは可愛い顔を歪めながら声を押し出した。

私がひどく情けない顔をしていたから、こんな表情をさせてしまってるのかもしれない。

いつも元気なりぃちゃんだけど、今は私にかける言葉に詰まっている様子だった。


そのとき、予鈴が鳴るのと同時に渡り廊下の向こうから何人か歩いてくるのが見えて、私はハッとした。

その中に夏海くんの姿を見つけたから。

同じクラスの男子がバスケットボールを手に持っているので、お昼休みにバスケをしていたのかもしれない。

夏海くんの隣には神崎さんがいて、その他にも何人かクラスの女子がいる。

私は思わず目を逸らして下を向いてしまった。
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