麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃

本郷麻衣、赤き牙へ牙を剥く②/あの魔少女を包囲網せよ!

本郷麻衣、赤き牙へ牙を剥く②/あの魔少女を包囲網せよ!
その1
夏美


その騒ぎが起こったのは、荒子の演説が終わる直前だった

私の10Mほど前で、二人がお互い髪の毛を掴んで罵声をあげてる

「テメー!ふざけんな、コノヤロー!」

「はあ?こらー、かかって来いよ、イケイケのコピー野郎が!」

明らかに親衛隊とレッドドッグスの1年だ…

「バカヤロー!お前ら、場所をわきまえろ!」

そこへ湯本敦子がいち早く駆け付けて、二人を怒鳴りつけた

そして後輩と共に、手際よく二人の間に割って入ったわ

「あんた達、早く二人をテント裏まで連れ行きなさい」

二人を制止すると、三人の後輩にてきぱきと指示を出してる

「先輩、こいつらは私らでやっときますから…。後、お願いします!」

「ええ、お願い。あとでいづみを行かせるから、事情を聴くのは、それからにして」

「わかってます。了解ですよ!」

あっこは振り返ると笑みを含ませ、早口でそう言った

ここに来て、あっこもすっかり頼もしくなった

すでに南玉の中核を支える存在だわ


...



「あなたたち、この後の執行部のあいさつが終わったら、補佐控えのいづみにテント裏へ行くようにって伝えてきて。乱闘騒ぎがあったからってね。私の名前出していいから」

「はい!」

私の指示で後輩はすっ飛んでいったわ

幸い、あっこの迅速な行動で、周りにさした混乱はない

ステージ付近の主だった幹部たちの目にも入っただろうが、とりあえず静観しているようだし

私は本郷のいるドッグスの陣に目をやった

本郷はステージをじっと凝視していた

ヤツの腹はわかってる

おそらく集会後は、一芝居仕掛けてくるだろう

荒子の出方次第では、その場で修羅場もあり得るわ

しかし、今日のところは、はやった行動をさせてはダメだ

未然に防がないと…

まずは、それまでに状況の整理が必要だわ…




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