麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃
その7
夏美



結局、その後はそれ以上の騒ぎは起らず、総集会は幕を閉じた

テント内には、集会前に集まった7人が再び顔を揃えている

新総長の荒子は短い挨拶を済ませると、再び進行役の土佐原OBに振った

「しかし盛会だったなあ、今回は。なにしろ、何とか無事終わってよかった…」

さすがの土佐原OBも、ほっと一安心って表情だわ(苦笑)

「さて、最初に我々の方から提案事項があるんだが、いいかな?」

いきなりOB、OGサイドから、何か話があるみたいだわ…

「由美ちゃんとも話したんだが、南玉のOB、OGのあり方もここらで見直す時期じゃないかって思うんだ。結論から言えば、俺たち二人、OB、OGの代表を降りたい」

「先輩…」

その場にいるほとんどの口からは、この二文字が漏れた


...



「先輩、ちょっと待ってください。いくらなんでも急すぎますよ。私らは所詮、未成年の学生です。いきなりお二人に去られたら私ら、親を失うのと同じですよ。ここまで大所帯になっては、私らだけではやってけません。なあ、みんな‥」

真っ先に発言したのは、前総長の達美だった

「そうです!やめないでください。お願いします!」

続いて、いづみが大きな声で訴えた

そして、新総長の荒子も、ここで口を開いたわ

「土佐原御大、先日の幹部会での騒動は、先輩方がいらっしゃったから収まったんです。現場の責任者としても、ぜひ、継続でお願いします…」

荒子はこう言った後、立って頭を下げてる…

「ハハハ…、みんな、何もそう大げさに捉えないでくれよ。なにも、俺たちは南玉から離れると言ってる訳じゃないんだ。ただ、これからは、現役と近い年代のOGが主導していくべきだと、そう考えてのことさ。まあ、ソフトランディングだ、基本は…」

「今の土佐原さんの意図するところ、私からも補足させてもらうわ…」

ここで、OG連の取りまとめ役を長い間担っていただいた、甲斐先輩が発言に立ったわ



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