麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃
その6
麻衣



テントから木戸先輩が出てきた

”先に向こう行ってくるから…”

目でそう語ってっくれてるようだ

中では”重役”7人が木戸ちゃんの話を受けて、協議中だろう

はてさて…、どんな按配にたどり着くやら


...



ほどなく、木戸ちゃんが”こっち”にやってきた

「待たせたね」

「いえ、ご苦労様でした」

「概ね伝えたつもりよ。後は、アンタの腕次第ね」

「了解です。お手数かけました。それで、他の決定事項とか情報はいかがですか?」

「三つほどあるわ。いづみから聞き出してね」

木戸ちゃんは私に耳打ちした

正直、仰天した…

「これ、向こうにも伝わってますかね?」

「ううん、あなただけ。だから内密よ、仲間内にも」

「はい、ありがとうございます。助かります」

「フフッ、昼間のコーヒー代ということでね…」

木戸ちゃんの”クシャ”スマイルがここで出た…


...



しかし、予想外だった

いきなり集会後に決定しちゃうとは…

まず、親衛隊を解散か

それで、特攻隊に組み込んじゃうと…

これ…、一見こっち側に好都合のようで、微妙だな

せっかくの”ターゲット”がうやむやになってくるよ

まあ、中ではこの話が出るだろうから、奴らどんな顔するかな?

それはそれで見ものだわ(笑)

さらに…、特攻隊長は矢吹先輩に交代となるらしい

これもこっちからすると、どうなんだろうか…

ドッグスの直属上司が矢吹先輩となれば…、想定がいろいろ変わってくるし


...



そして、もうひとつだ

これはちょっと厄介だわ

OB、OGの現代表が実質退任を申し出たとはね…

その後任には、刃根先輩と相川いづれかになるということらしい…

木戸ちゃんが言うには、大学受験があるから相川は辞退だろうってことだけど…

私はそのポストには相川が就くと思う

そうなれば、私は相川によって包囲網を築かれるだろう

フン、上等だ

どうせだから、あの女の受験も失敗させてやるか、へへへ…






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