麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃
その7
麻衣



木戸ちゃんはテントの方に目をやった

「もうすぐ4人が出てくるはずよ。そのあと呼ばれるわ」

「ということは、私らには7人じゃないんですね?」

「3人ということでしょ、おそらくね」

なるほど…

私らの裁定は新執行部のみで当たる訳か

要は、その場に相川はいない…

よし…、なら、そのつもりで組み立てしとこう

木戸ちゃんは、「まあ、頑張ってね」と私の肩をポンと叩いた

そしてまた、”あっち”に歩いて行ったよ

例のあやしいウインクをして…


...



しばらくすると、テント内から”その”4人が現れた

「麻衣、幹部の人達出てきちゃったけど、私たち、まだ行かなくていいの?」

「ああ。でも、そろそろ呼ばれる。執行部の3人からな。久美、みんなには準備させとけ」

「うん、みんなには伝えるよ。そうか、私たちには3役の人達だけになるのか…」

「ハハハ…、ウチら全員招集だもんな。あっちと合わせりゃ20人だ。スペース上の都合だろう、…テントの中、狭いからな(笑)」

私が皮肉を込めた冗談言っても、久美は「そうか…」ってマジ顔だわ

コイツのアタマ、もうちょっと血のめぐりをよくしないとな


...



「おい!お前ら全員、中入れ」

控えの補佐、いづみ先輩から招集がかかったぞ

と同時に、両陣営は競うようにテント内に走っていった

「狭いんだから、もっと中詰めろ!」

いやあ、さすがにテント内はぎゅうぎゅう詰めだ

で、私は最後尾についた

すると、最前列近くの久美がこっちを向いて、大きな声をあげた

「麻衣、前に来た方がいいんじゃないのか?」

私は首を横に数度振った

久美は右手を上げてOKサインを送ってきたわ

全員への話はすぐ終わるさ

その後、両サイドの”当事者”が残され、そこから”本題”だ

慌てることはない…

うん?待てよ…

しまった!

ここじゃ、親衛隊連中の顔、見えないじゃん…

親衛隊解散を宣告された瞬間の…



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