麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃
その8
夏美
テントの外に出ると、湯本敦子がすぐに私の前にやって来た
「相川先輩、どうでした?中の方の状況は」
「思ってたよりいい展開だったわ」
あっこは、「そうですか!」と単純に喜んでたわ
「あっこには、中で決まったこと言っとくわ。とりあえずオフレコよ」
私は真澄の証言、親衛隊解散と特攻隊長の交代、それにOB、OG代表の件を手短かに話した
彼女、いっぺんにいろいろと聞かされたもんだから、目をぱちくりさせてるよ(苦笑)
そんな表情が、けっこうかわいい
...
「あの…、結局、私らには全部、好材料ってことになりますかね、この状況って」
「そう考えていいと思う。本郷には包囲網を張れる環境が整ったっと捉えてるわ、私はね」
「よし!一気にヤツを潰してやりましょう、遠慮はいらないですよ。週末の集まりも本当だったみたいだし。暴挙だわ!半分近くの仲間を追放するなんて…」
「まあ、そう熱くなると、成せることも逃すわ。相手はハンパないのよ。でも、危惧してた荒子と鷹美の関係もね、まずは歩調を合わせてくれてるしね。これは、本郷と構える上では強みよ。あなたも力を貸してやってね、あの二人に」
「当然ですよ。私もあいつらとは、密に連携していきますよ。負けるもんか、あんな卑怯な1年坊なんかに!」
あっこは力強く宣言した
でも、この子はストレートだから、注意も必要なんだよな
...
「あっこ、あなたは頼もしいわ。ブレることがなく、いつもまっしぐらだし。ただ、今の”敵”は何でもありのエイリアンみないなもんなの。たぶん本郷は、あっこと私のホットラインに気付いてるわ。既にあなたをマークしてるでしょうね。そのことを承知しておかなきゃダメよ」
「えっ?はあ、わかりました…。でも、具体的にどう気を付ければいいんですかね?」
「まずは、鷹美とはあまり表だった接触を避けた方がいいわ。ヤツの視界には触れないように心掛けて。あなたのマークの範囲が鷹美に及んでは、本郷に付け込まれる恐れがあるから。ちょっとでも隙間があれば、そこから包囲網は破られる。そのくらいの力量はある女よ、本郷麻衣は」
「ふうー、ヤツのこと考えると、どっと疲れてくるわ。細心を払いますよ、先輩…。自分もマークされてるんなら…」
「うん、私も鷹美にはそれなりに含ませておくわ。とにかく油断は禁物よ」
こう私が話し終わったところで、テントから出てきたいづみの大きな声が響いた
...
「おい!お前ら全員、中入れ」
「先輩、いよいよ1年連中、呼び出されましたよ」
私は小声で「ええ…」と相槌をうち、あっこと並んでその様子を見守った
20人近くが我先にと一斉に走って行く中、本郷だけがゆっくりと歩いてる
その本郷は、5Mほどしか離れていない私の視線を感じただろうが、こちらを振向くことはなくテント内に入って行った
夏美
テントの外に出ると、湯本敦子がすぐに私の前にやって来た
「相川先輩、どうでした?中の方の状況は」
「思ってたよりいい展開だったわ」
あっこは、「そうですか!」と単純に喜んでたわ
「あっこには、中で決まったこと言っとくわ。とりあえずオフレコよ」
私は真澄の証言、親衛隊解散と特攻隊長の交代、それにOB、OG代表の件を手短かに話した
彼女、いっぺんにいろいろと聞かされたもんだから、目をぱちくりさせてるよ(苦笑)
そんな表情が、けっこうかわいい
...
「あの…、結局、私らには全部、好材料ってことになりますかね、この状況って」
「そう考えていいと思う。本郷には包囲網を張れる環境が整ったっと捉えてるわ、私はね」
「よし!一気にヤツを潰してやりましょう、遠慮はいらないですよ。週末の集まりも本当だったみたいだし。暴挙だわ!半分近くの仲間を追放するなんて…」
「まあ、そう熱くなると、成せることも逃すわ。相手はハンパないのよ。でも、危惧してた荒子と鷹美の関係もね、まずは歩調を合わせてくれてるしね。これは、本郷と構える上では強みよ。あなたも力を貸してやってね、あの二人に」
「当然ですよ。私もあいつらとは、密に連携していきますよ。負けるもんか、あんな卑怯な1年坊なんかに!」
あっこは力強く宣言した
でも、この子はストレートだから、注意も必要なんだよな
...
「あっこ、あなたは頼もしいわ。ブレることがなく、いつもまっしぐらだし。ただ、今の”敵”は何でもありのエイリアンみないなもんなの。たぶん本郷は、あっこと私のホットラインに気付いてるわ。既にあなたをマークしてるでしょうね。そのことを承知しておかなきゃダメよ」
「えっ?はあ、わかりました…。でも、具体的にどう気を付ければいいんですかね?」
「まずは、鷹美とはあまり表だった接触を避けた方がいいわ。ヤツの視界には触れないように心掛けて。あなたのマークの範囲が鷹美に及んでは、本郷に付け込まれる恐れがあるから。ちょっとでも隙間があれば、そこから包囲網は破られる。そのくらいの力量はある女よ、本郷麻衣は」
「ふうー、ヤツのこと考えると、どっと疲れてくるわ。細心を払いますよ、先輩…。自分もマークされてるんなら…」
「うん、私も鷹美にはそれなりに含ませておくわ。とにかく油断は禁物よ」
こう私が話し終わったところで、テントから出てきたいづみの大きな声が響いた
...
「おい!お前ら全員、中入れ」
「先輩、いよいよ1年連中、呼び出されましたよ」
私は小声で「ええ…」と相槌をうち、あっこと並んでその様子を見守った
20人近くが我先にと一斉に走って行く中、本郷だけがゆっくりと歩いてる
その本郷は、5Mほどしか離れていない私の視線を感じただろうが、こちらを振向くことはなくテント内に入って行った