麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃
その6
麻衣



うあ~、入って来たわ、うっとうしいのが…

やっぱり”あっち”の代表は、あの浅黒のチビか

フン、これ見よがしな態度で私を睨んでるよ

バカヤロー、お前みたいなコピー野郎、目じゃねえっての!

こっちは”大局”を見定めて頭下げんだ

勘違いすんなよな…


...


「本郷…。じゃあ、旧親衛隊にケンカ売ったこと、この二人に認め、ドッグスの代表として、しっかり詫び入れてもらおうか」

荒子総長は腕組みをして椅子に腰かけたまま、静かな口調で私に告げた

よし、ここはきっちりやってやるさ

「はい、総長…」

ここで私は地べたに膝まついた

「本田さん、冴木さん…。私は外様でも、あんた達には絶対、負けたくない。その気持ちを抑えきれず、今日は結果として、ドッグスがケンカを売った。これは認める。メンバー全員の行動は私の指示によるものだよ。全責任は私にある」

これ、前段はウソ、後段はまあ事実だ

「だけど、アンタたちに対する対抗心は、これからもずっと持ち続けると思う。その気持ちは総長の目指す方向への熱意なんだ。今はわかってくれないだろうけど、今日のことを教訓として、あんた達とは、切磋琢磨していきたい。そのために、まずは今日の礼を逸した行い、心から謝罪するよ」

さあ…、清水の舞台から飛び降りだ

「申し訳ありませんでした!この通りお詫びいたします」

私は地べたに頭をこすりけ、大声を上げて詫びたさ

正直、悔しいけど、こんな頭でよけりゃ、いくらでも下げてやる

まあ、そんなもんだわ

さあ、どうなんだ、これで…

私は返ってくるボールを待った

「どうだ、本田、冴木…」

総長は珍しく、語尾がフェイドアウト気味だったわ

本田多美代と冴木ひとみは土下座状態の私を、無言で凝視していた




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