麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃
その4
麻衣
「とにかく、想定以上の展開だったよ。どうやら最初から、総力投入で行かざるを得ない…。そんで、まず、紹介するわ。祥子は顔合わせ済だけど、そこのチビは北田久美。大河原高の同級生で、ドッグスを一から共に作り上げてきた仲間だよ。今後はみんなと同様に、重要事項はこいつにも共有させるつもりだ。よろしくな」
久美は私の発言が終わると、チラッと私を見てから、その場で起立し自己紹介した
「あの…、私、北田久美です。どうぞ、よろしくお願いします…」
久美は3人に向かって、深くお辞儀をしてるよ
「久美、まあ、座れって。”この前”のノリで盛り上げてくれよ。お前の”口”には期待してるぜ、ハハハ…」
祥子が豪快に笑った
久美は小さな声で”はい”と言って下向いちゃってる
...
「じゃあ、私から自己紹介するわ。岩本真樹子よ。あなたのことは逐一、麻衣さんから聞いてる。一緒に頑張ろうね、久美」
「はい!」
久美の奴、今度は姿勢を正し、だいぶ声が大きくなってきた
「私は迫田リエ。よろしくね、久美ちゃん」
「はい、こちらこそよろしくお願いします!」
おお…、久美の口から出るボリュームが、いつもの音量になってきたぞ(笑)
「久美、お前、一番冷蔵庫に近いから、つまみと飲み物頼むよ。適用に」
「ああ、了解だよ、麻衣」
久美、走って行ってるよ
健気だわ…(苦笑)
...
「とにかく、今日はこの久美がさ、体を張って親衛隊に一歩も引かなかった。バカでケンカも弱いけど、その分、根性でカバーしてるよ。今後、みんなとは同じテーブルにつかせるつもりだから、頼むわ」
3人は、これまた微笑を浮かべながら、こっくりと頷いてる
「あ、お待たせです。適当に持ってきたんだけど…、これでいいかな」
久美がわんさと運んできて、テーブルに配置した
「よし、とにかく乾杯だ」
「カンパーイ!」
5人は文字通り”杯”を交わした
私の狂った進路への同行を承知した上で…