麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃
その5
真樹子



これが北田久美か…

なんか、かわいいや

妹みたいだ、”私”の

麻衣さんからは、さんざん聞いてたんで、初対面の気がしないよ(苦笑)

「あのさ、久美…。あなた、高校入って最初の中間テスト、クラスで何番だった?」

「はあ…、あのう…、自慢じゃないけど3番です」

「えー!何、それ?すごいじゃん、私39番だったよ!わー、全然負けてるわ、参ったなー」

「あのー、後ろからなんですけど…」

「…?ああ、そう言うことね。なら…、私と一緒だわ。私、その時、クラス41人だったから」

「えー?そうなんですか、真樹子先輩、私たち一緒なんですね、頭ン中…。あ…、すいません。先輩はすごい人だから、私みたいなバカじゃないですよね。失礼しました」

頭下げてるわ、この子…(笑)


...



「いや、私はバカだよ。それに性格もさ…、私、最悪だし。まあ、ケツから3番の仲間ってことだ、私たちは。さあ、握手しよ!」

私が右手を差し出すと、この子は右手の掌を服で拭ってるよ

「すいません。私、脂汗性なんで…」

「いいのよ、そんなこと気にしないで。さあ、握手よ」

私は久美の右手を引っ張って、強引に握手した

「ハハハ…、真樹子さんと久美、本当の姉妹みたいだ」

「おお、久美、よかったな。このお姉さんは人生経験豊かでさ、愉快な人だから。仲良くしとくと、”勉強”になるぞ。まあ、週一は会って、色々と汲んで来い。だけどさ、レズるなよ!くれぐれもな…」

祥子と麻衣さんの絶妙のツッコミ、いいねえ…

で、一同爆笑だ…


...



「先輩、じゃあ、1週間に一度、デートお願いします。いろいろと教えて下さい!」

久美はそう言うと、私の左手に両手を添えてきたわ

「麻衣さん、悪い!間違いなくレズるわ、この子とは。今から言っとくからさ。そのつもりで…」

みんな、口をでっかく広げて笑ってる

心の底から…

最高じゃん、この布陣

そして…

麻衣さんと、その狂ったロードの伴走者は、このあと”本題”に入った



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