麻衣ロード、そのイカレた軌跡➍/赤き牙への狂おしき刃
その7
夏美



「ちょっと、あっこ!それ、どこからのネタなのよ。しっかり出元、確認してのことなの?」

「まあ、1年連中の話ですけど、同様の情報は複数のルートで入ってるんです。離脱組から直接聞いたってのもいますし。全部鵜呑みはできないにしても、信憑性は否定できませんよ」

あっこは、きっぱりと言いきったわ

「ふー、次々と出てくるわね…。あっこ、それ本当だとして、荒子が知ったらまずいでしょう」

「ええ、まあ怒り狂ってドッグスの連中をぶん殴るでしょうね。新総長という立場だけでなく、ドッグスの所管責任者も兼ねてて何も知らさせてないんじゃ…。今日の就任の晴れ舞台でいきなり、顔に泥塗られたってことになるし…」

そういうことだ

集会後のテント内ではひと騒動となるわ

おそらく…

本郷のことだ、今日知られることは計算の上で行動してるはずだわ

だとすれば…


...



「そうよ。だけど仮にドッグス、いや本郷が意図してその集会を決行してたとしたら…。あっこ、その意味するところは何だと思う?」

「はあ…、まあ、奴としては荒子のメンツを潰すとか、波風を起こして…。あの…、わからないですよ、あいつの考えることなんて!一体、何がやりたいんだか…!」

あっこは真っ赤な顔して、もう投げやり気味だわ

「いい…、あっこ。本郷は常に相手に対しては、真正面にボールを投げつけてくるのよ。そして、”これでどうだ、さあ、どうする?”と迫ってくる。やり方は卑劣であっても、矢継ぎ早にどんどんと手を打ってくる。しかも、複数の相手に同時並行でね…」

「…」

「さっき、荒子が苦虫を噛んだような顔してたのって、そのことかもね。全く…、達美と私が血ヘドを吐く思いで、やっとたどり着いた代継ぎの舞台だというのに…。本郷麻衣はどこまで汚すつもりなのよ、クソッ!」

私は再び本郷麻衣に対する激しい怒りで、体が震えるの止めることが出来なかった




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