狂った魔法からは逃げられない〜歪んだ愛の鎖〜
足につけられた鎖は長い。それは、キッチンにも侵入することを許している。ルーカスさんと二人でたまに夕食やお菓子を作ることがあったからだ。

キッチンの棚を開けると、すぐに包丁が見える。それを手に取り、私が鎖を切ろうとした刹那、私の手は横から伸びてきた手によって掴まれてしまった。

「鎖を切ろうとするなんて、ミラはいつからそんな悪い子になったの?」

「あっ……何で……」

私の手を掴んだのは、他でもないルーカスさんだった。体がまた震え出す。どうして?玄関のドアが開く音はしなかったし、ルーカスさんは仕事に行ったはずだ……。

「僕はね、普通の人とは違うんだ。魔法使いってミラもおとぎ話を読んで知ってるでしょ?僕は魔法使いなんだ」

まるで子どもに言い聞かせるように、ルーカスさんは私の頭を撫でながら言う。口元は笑みを浮かべているけど、その目は笑っていない。

「ミラの記憶を消す魔法をかけてたんだけど、解けちゃったみたいだね。これは本当は使いたくなかったんだけど、また記憶が戻ると面倒だから使わせてもらうね」
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