狂った魔法からは逃げられない〜歪んだ愛の鎖〜
ルーカスさんが新しい本を買ったと言っていたから、読書をして過ごそうかな……。そう思いながら書斎へと向かう。

私が歩くたび、ジャラジャラと足元の鎖が音を立てる。それを誤魔化すかのように鼻歌を歌いながら、私は朝の頭痛のことを考えていた。

(一体、私はいつになったら記憶を取り戻すんだろう……)

過去のことを思い出そうとしても、頭の中に霧がかかっているように何も思い出せない。思い出せると思っても、強い痛みの方が強く、ルーカスさんに抱き締められるとすぐに忘れてしまう。

「私に家族はいるのかな……」

もしもいるのなら、会ってみたい。ルーカスさんのことをちゃんと紹介したい。そう思いながら、書斎のドアを開ける。

天井に届いてしまうほどの本棚には、童話から歴史書、ミステリーや恋愛など様々なジャンルの本が並べられている。本が大好きな人にとってはたまらない場所だ。

「えっと、ルーカスさんが買ってきてくれたのはーーー」
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