狂った魔法からは逃げられない〜歪んだ愛の鎖〜
私の好きそうな恋愛小説を見つけて、買ってきてくれたらしい。わくわくしながら棚を探していく。ページをめくって物語の中に入り込んでいる時間も好きだけど、本をこうして探す時間も大好き。

「あれ?」

本を探していた私は、あることに気付く。書斎に置かれたテーブルの上に、見覚えのない細長足木の棒のようなものが置かれていた。

「ルーカスさんのかな?」

でも、ルーカスさんがこんな棒のようなものを持っているのを見たことがない。じゃあこれは一体何?木の棒にしてはやけに綺麗だ。

興味が湧いてしまい、私は本棚から離れてテーブルへと向かう。そして、躊躇うことなく木の棒を掴んだ。刹那、頭を割れるような痛みが襲ってくる。

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

床に倒れ、痛みのあまりのたうち回る。頭の中にかかっていた霧が、痛みと共に少しずつ消えていった。



どれほど痛みにもがき苦しんでいただろうか。ようやく痛みが消えた頃、私はただ荒い息を吐くことしかできなかった。でも、頭の中にはしっかりと考えていることがある。
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