狂った魔法からは逃げられない〜歪んだ愛の鎖〜

「いえ、結構です！失礼します！」

この人とこれ以上一緒にいたくない、そんな思いが募り、私はルーカスさんに背を向けて走り出そうとした。刹那。

「申し訳ないけど、一緒に来てもらうよ。君は僕のものになるんだ」

腕を掴まれ、木の棒のようなものを向けられる。掴まれた腕を振り解きたいのに、体は全く言うことを聞かない。

ルーカスさんが何かを呟く。すると、私の体から力が抜け、少しずつ瞼が重くなっていった。そんな私を抱き締め、ルーカスさんは幸せそうに笑う。

「ああ、これでやっと君が手に入る……」

そこで意識は失くなり、目を覚ました時、私は家族のことなどを忘れてしまっていた。

（もし記憶が戻ったことを知られたら、また記憶を消されてしまうかもしれない……！）

ルーカスさんが帰って来るまでに、この家から逃げ出さなくてはならない。そのためにまず必要なのは、足につけられた足枷を外すことだ。

「包丁とかを使えば、きっと鎖を切れるよね」