魔法のいらないシンデレラ 3
一生は、何度も小さく頷くと、やがて立ち上がって二人の前に歩み出た。

「おめでとう!青木くん、小山くん。私は君達を心から祝福するよ。どうかいつまでも幸せに」

二人は笑顔で頷くと、深々と頭を下げた。

「総支配人、本当にありがとうございました」

そして頭を上げると、ややためらいがちに尋ねる。

「あの…それで1つお願いがありまして」
「なんだ?」
「はい。婚姻届の証人の欄に、総支配人ご夫妻のサインを頂けないでしょうか?」
「え、俺達の?いいのか?」

二人の顔を交互に見ると、奈々も頷いた。

「私達にとって、他の人は考えられません。是非お二人にサインして頂きたいです」

一生は頷いた。

「分かった。喜んで書かせてもらうよ」
「ありがとうございます!」

パッと笑顔になって、二人は見つめ合った。
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