魔法のいらないシンデレラ 3
「いやー、良かった良かった。ちょっと心配でもあったんだよなー。もしかして小山くん、プロポーズ断るかなって」

二人が総支配人室を出て行くと、一生は伸びをしながら早瀬に話しかける。

「でもお前の話、本当だったな。青木くんが昇進を断る理由も、照れ屋でなかなかプロポーズ出来ずにいるんじゃないかって事も」

一生は、デスクに両肘を載せて、正面に立つ早瀬を見る。

「さすがは同期の仲だな…っておい。どうした?ボーッと突っ立って」
「は、いや、その…」
「なんだ?お前らしくない。どうしたんだ?」
「それが…その」
「おいおい、ほんとにどうした?宿題忘れた小学生か?」
「宿題?宿題って何ですか?」
「…は?何を真顔で聞いてんだ。変だぞ、お前」

それでも早瀬はモジモジと下を向いたままだ。

「こわっ、なんなんだ?どうしたんだ?頼むから言ってくれ!」

一生は立ち上がり、もはや懇願するように早瀬の両肩を掴む。
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