魔法のいらないシンデレラ 3
「保育士って、飲み会とかほぼないんですよ。特に私、今は派遣保育士だし。だから、こういうお店も久しぶりで。今日はたくさん飲んじゃいそう」

ふふっと笑ってから、酔っ払う前にお話しちゃいますね、と、資料をもう一度見せてくれていた。

「どうでしょう?こういう情報もお役に立ちますか?」
「うん。みんなも知りたがるんじゃないかな?」
「ほんとですか?!じゃあ、私、資料ちゃんと作りますね。あと、子育てしやすい街もいくつか心当たりがあって…。ここ、千葉県寄りの住宅街を広範囲に整備して、ファミリー向けの建て売り住宅が一斉に売り出されたんです。区が補助していて、住みやすい街を掲げているので、公園はもちろん、教育機関やスーパー、病院も、すべて徒歩圏内にあるんです」
「へえー、いいね!資料ってある?」
「ホームページからプリントアウトしたものならあります」
「どれどれ?」

テーブルにたくさんの書類を広げ、二人が顔を寄せ合いながら覗き込んでいた時だった。
< 111 / 236 >

この作品をシェア

pagetop