魔法のいらないシンデレラ 3
「おお?誰かと思ったら、稜じゃねえか」
「え、稜?」
「ほんとだ!久しぶりだな、おい」

ガヤガヤと賑やかな声がして、二人のテーブルをスーツ姿の三人の男性が取り囲んだ。

「うわ、お前達も来てたのか」

山下は、懐かしそうに三人を見渡す。

「しょっちゅう来てるよ。この店はな」
「俺もたまに来るよ」
「そうだったのか?じゃあ、今度から稜にも声かけるよ」

笑顔で盛り上がった男性陣は、やがてふと小雪に目を留める。

「おっ?こりゃまた若い女の子だな。稜、お前こんなお嬢さんに、なに悪さしてんだ?」
「してねーよ!職場の同僚。仕事の話をしてたの」
「ええ?!お嬢さん、高校生じゃないの?」

小雪は慌てて手を振る。

「いえ、まさかそんな!私、24歳です」
「ほえー、見えないね」
「稜の同僚ってことは、ホテルで働いてるの?」
「あ、ホテルの社員ではなくて、派遣で来ている保育士なんです」
「あー、保育士さん!だからそんなに可愛らしい雰囲気なのか」
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