魔法のいらないシンデレラ 3
そのうちに小雪もお酒が進み、気が付くと酔っ払っていた。

「やっぱりみなさんも、ヘラヘラ星からやって来たんですねー。ヘラヘラ星人がいっぱーい!」
「アハハ!何それ、小雪ちゃん」
「だめですよ!ヘラヘラ星人だからって、すぐ女の子に言い寄ったりしたら。すみれちゃんを悲しませたりしたら、私が許さないんだから!うんと懲らしめてやるー」
「えー、小雪ちゃんに懲らしめられるならいいよ」
「私、こう見えて怒ると怖いんだからね!先生、プンプン怒っちゃうよ!」
「怒られたーい、小雪せんせーい」

すると、それまで黙って聞いていた山下が、ガタッと立ち上がった。

「そこまでだ。小雪、帰るぞ」
「おお?なんだ、稜。やっぱりお前の彼女だったのか?」
「なんだー、それなら早くそう言えよ」
「そうだよ。悪かったな、大事な彼女酔っ払わせちゃって」

山下は、財布から1万円札を2枚取り出してテーブルに置く。

「今度は、俺1人の時に誘ってくれ。じゃあな」
「あいよー。小雪ちゃん、まったねー!」

山下は、足元をふらつかせる小雪を支えながらタクシーを拾った。
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