魔法のいらないシンデレラ 3
大きな花束を抱えて、瑠璃はナーサリーにすみれを迎えに行く。

「すみれちゃん、しばらく会えないけど元気でね」

小雪は必死に涙を堪えて、すみれに笑いかける。

すみれも、今にも泣き出しそうな表情で小雪に抱きつく。

一生懸命泣かないように頑張るすみれを見て、瑠璃が小雪に口を開いた。

「小雪先生、私の産休中も、週に2回くらいすみれを預かって頂けませんか?」

小雪とすみれが、パッと顔を上げて瑠璃を見る。

「いいんですか?瑠璃さん」
「いいの?かあさま」

瑠璃はニッコリ笑って頷いた。

やったー!と二人は抱き合って喜んでいる。

(良かった。すみれには、なるべく今の生活を続けて安心させたい)

自分の出産に向けて、すみれが心細くならないよう、瑠璃はいつも以上にすみれに気を配ろうと思った。
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