魔法のいらないシンデレラ 3
パタンとドアが閉まり、一生は呆然とする。

すると寝室から、んーとすみれの声が聞こえてきて、慌てて戻る。

「すみれ?起きた?」

一生が声をかけると、すみれはボンヤリと目を開ける。

「とうさま…」

そして身体を起こすと、目を擦りながらキョロキョロする。

「かあさまは?」

一生は、すみれの隣に腰掛けた。

「すみれ、かあさまは病院に行ったよ。赤ちゃんが産まれそうなんだって」
「ほんと?!」
「ああ。だからすみれは、しっかり朝ご飯を食べてから、とうさまと一緒に病院に会いに行こう」
「うん、わかった!」

すみれは頷くと、トンとベッドから降り、早速着替え始めた。
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