魔法のいらないシンデレラ 3
第十八章 家族の形
やがて瑠璃は、回復室から病室に移動する事になり、赤ちゃんも一緒に家族四人で水入らずの時間を過ごす。

瑠璃の父は、個室を用意してくれていた。

調子はどうだ?と部屋に現れた父は、初めて対面する赤ちゃんに目を細めた。

「男の子かー。一生くんにそっくりだな!」
「お父様もそう思う?私も、目元とか一生さんに瓜ふたつだと思ってたの」
「こりゃ、将来イケメン間違いなしだな!」

そう言って笑ってから、母さんも後でお見舞いに来るって、と言い残して去って行った。

「おばあさまもくる?」

すみれの言葉に一生は頷く。

「ああ、後でね。それから、すみれ。かあさまは、しばらく赤ちゃんとここに入院するんだ。その間すみれは、おばあ様のおうちに泊めてもらおう。そうすれば、毎日ここに連れて来てもらって、かあさまにも会えるよ」
「とうさまは?」
「とうさまは仕事があるんだ。だから、すみれはおばあ様と一緒にいた方がいいと思う。それでいい?」

すみれは、少しうつむいて考えてから、うんと頷いた。
< 138 / 236 >

この作品をシェア

pagetop