魔法のいらないシンデレラ 3
一人残された後は、ボンヤリと考えながらビールを飲む。

(俺が課長か…。なんだか実感湧かないな。まだ青木さん達がいてくれる間に、しっかり教わっておこう)

ふと前を見ると、今まで加藤の背後にいた女の子達が目に入る。

「都会でひとり暮らしなんて、大丈夫?って思ってたけど、なんとか上手くやってるのね」

山下から顔が見える子がそう言うと、反対側の背中を向けている子が頷く。

「もっちろんよー。それにね、私、お酒もすんごく強くなったの。この間もね、ここでたくさん飲んで酔っ払ったのに、ちゃんと家に帰ってベッドで寝てたのよ。しかも、部屋の電気もちゃんと消して、タオルケットもしっかり掛けてね」
「ふうーん…。記憶失くしたりしなかったんだ」
「あ、それが、あんまり覚えてないんだけどねー。メイクも落とさないで服のまま寝ちゃってたし、それにそう!部屋の鍵が見当たらないのよ」

ええー?!と、正面の子が驚いた声を上げる。
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