魔法のいらないシンデレラ 3
「こゆせんせい、ひらがな、これであってる?」
「どれどれ?」

小雪は、すみれが見せているスケッチブックを覗き込む。

可愛い絵の上に『れん』と書いてある。

「合ってるよ!蓮くんのお名前だね。すみれちゃん、少し見ない間に字も上手に書けるようになったんだねー」

小雪が笑いかけると、すみれはニッコリ嬉しそうに笑う。

「かあさまにおしえてもらったの」
「そうなのね、良かったわねー」

うん!と頷いた後、すみれは入り口の方を見て、あ!と声を上げた。

「りょうおにいさん!」

えっ?と小雪も振り返る。

チリンと鈴の音がして、山下が扉を開けて入って来た。
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