魔法のいらないシンデレラ 3
「読んでもいいの?」

山下がためらうと、瑠璃は頷いた。

封筒を受け取ると、宛先の住所はホテルの総支配人室宛てで、宛名は神崎 一生様 瑠璃様と書かれている。

裏を見ると住所はなく、高岡 小雪 と名前だけが書かれていた。

そっと封筒から手紙を取り出すと、山下はもう一度瑠璃を見る。

瑠璃は、黙って頷いてみせた。

山下は、小さく息を吐き出してから、ゆっくりと手紙を開く。

整った字で、びっしりと書かれている手紙を目で読み始めた。
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