魔法のいらないシンデレラ 3
「お父さん、お母さん!私、どうしても東京に戻りたいの。東京で、私とっても幸せだった。仕事も楽しくて毎日充実していて、職場の皆さんもいい人ばかりで。勝手に仕事を辞めて帰ってきた事、ちゃんと謝りたいの。そして、またいつか働かせてもらえるように、私、これから頑張るから!だからお願い。もう一度上京させて下さい!」

深々と頭を下げる小雪に、両親は困ったようにため息をつく。

「そうは言ってもなあ。父さん達、お前のことが心配なんだよ」
「そうよ。東京でひとり暮らしなんて、あなたの性格で今まで何もなかった方が不思議なくらい。これから危険な目に遭うかもしれないのよ?」
「それにお前、もう25だろ?ここらの田舎で25歳っていったら、結婚して子どもの一人や二人いてもいい年齢だ」
「本当よ。東京にいたんじゃ、あなたますます結婚が遠のくわよ?」
「父さんも母さんも、早く孫の顔が見たくてなあ。ご近所さん達、みんな孫の写真を嬉しそうに持ってて、うらやましいったら」

そうよねーと母親も頷き、小雪は言葉に詰まる。
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